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心理的安全性 - 法律家・脳科学研究の視点からキャリアコンサルタントとして活躍するには? -

キーイメージ
本コラムは2023年11月3日に実施したキャリアコンサルタントオンライン交流会の講演「組織内の「心理的安全性」について〜法律家・脳科学研究の視点から〜」の中から、キャリアコンサルタントとして活躍するうえで最大の課題かつ関心事でもある「キャッシュイン(お金が外から流入すること、すなわち収入につなげること)について、ヒントとなるお話を中心に抜粋、編集したものです。

目次

キャリアコンサルティングを収入につなげるには

職業能力開発促進法によれば、キャリアコンサルタントは「労働者の職業選択、職業生活設計、職業能力の開発・向上に関する相談に応じ、助言・指導を行う」とされています。これらの活動が法律に明記されており、キャリアコンサルタントとして認定された者のみが実施できるものとされています。

では、キャリアコンサルティングとは結局何をするのか、キャリアコンサルティング実践がキャッシュインにどうつながるのか、という点はどうでしょうか。これらの点があまり明確になっていないのではないかというのが気になったところです。

対象者と立ち位置


まず、誰を対象にキャリアコンサルティングを実践するのか、自身の立ち位置はどこなのかについて考える必要があります。
キャリアコンサルティングは個人支援として実施しますが、企業の方を向いて実施するということもあります。個人のためだけではなく、企業の方にも向いて仕事ができるのであれば、新たなブルーオーシャンが広がっていくのではないかと思われます。

例えば、大学生への就職支援を希望するキャリアコンサルタントは多いですが、キャリアコンサルタントが関わることが本人にとっての良い就職にどのようにつながるのか、また、キャッシュインはどうなのか、という点がよくわかりません。
企業内の支援において、外から行う場合のキャッシュインはどうなるのか。単発ではなく、継続的にキャッシュインにつながるのかも不透明です。
経営層の依頼を請けて企業の社員に対して行う場合、転職希望者や離職者の再就職も支援するのか、具体的なコンサルティングの範囲がはっきりしていないように感じます。社員が重ねたキャリアを、自社内でのポジション向上と仕事に活用できないかも考える必要があります。

どちらの方向を向いてキャリアコンサルティングを行うかも重要なポイントです。
学生や転職希望者、離職者など、個人に対する支援をした場合、キャリアコンサルタント自らのキャッシュインはどこから来るのか。もちろん、ボランティアで実施することもあるでしょう。それはそれで素晴らしいですが、どこまで継続性があるかは非常に気になるところです。

この、対象者が誰か、ということと、自らの立ち位置がどこか、どちらを向いているかということがポイントだと思います。誰を対象に、どちらを向いて実施したらキャッシュインにつながるのか、非常に考えどころではないかと思います。

キャリアコンサルティングの内容


キャリアコンサルティングにおいて、どのような助言や指導を提供するかは大変重要な課題です。法的な側面は記載されていますが、具体的な内容についてはさらに詳細に明確化が必要です。これは自身が行おうとしている活動や実力にも関わるものであり、具体的なアプローチを検討する必要があります。

大学生への一般的なキャリアアドバイスはできたとしても、具体的な就職先や転職先の紹介がなければ価値が向上しません。一般的なアドバイスだけでなく、業界や企業の状況を踏まえながら、個々の就職希望者に合わせた具体的な指導が重要です。目指していることは何なのかが不明確であれば、キャッシュインの可能性も影響を受ける可能性があります。
企業人を対象とする場合、所属する企業の状況や意向は多岐にわたります。
対象者が会社に残るべきか、別の会社に移るべきか(移ることもやむなしとするか)については上司や人事部門が携わりますが、キャリアコンサルタントの立場でその意向を受け入れるかどうかが問題となります。
企業の中でキャリアコンサルティングができるのであれば、それはキャリアコンサルタント自身が今、働いているところでのキャリアアップになりますし、会社から素晴らしい人材として皆さんが評価されるということになります。一方で、その時の最大の問題は、まさにどちら向いているかという点です。
同僚、後輩、社員のためなのか、対象者の上司や人事部門に対する責任をどう考えるかが重要です。

自らのキャッシュインということを考えるのであれば、上司や会社側の意向を考えざるを得ないともいえます。逆に、対象者に肩入れしすぎた結果、上司や人事部門との関係性が保てないのであれば、結局、有益な支援はできなくなります。
自らのキャッシュインを考える際、上司や人事部門に配慮しつつ、対象者や会社のために行動するバランスも求められます。

企業が求めるものとは


企業としてキャリアコンサルタントに期待したい場面が2つあります。
1つはメンタル不調。
うつ病、うつ状態である社員への対応です。産業医との間でどのようにしたらよいのか、精神科を受診するのか、休職・復職対応はどうするのか、などです。

そしてもう1つは、企業側から見て、働く意欲が薄い、勤務態度の良くない社員に対する対応です。就業規則に違反している、懲戒事由に該当して会社として毅然と対応できる場合はよいのですが、様々な理由を付けて急に休む、言われたことをやらないなど、会社の雰囲気を悪くしている従業員について、会社としての対応に苦慮するケースがあります。そのような場合にキャリアコンサルティングを実施して改善してもらえるのであれば、それは企業側にとってものすごくありがたいことです。
例えば、言われたことをやらない社員についても、命じられてもうまくやれない事情や理由があり、そのような社員が今一度キャリアを見直すことになるのであれば、会社はキャリアコンサルタントである皆さんを重宝すると思いますし、キャリアコンサルタントに対するニーズは高まります。

ただ、そこまで実施するのは大変勇気がいる話で、様々な部署の上司や人事部門との調整も必要になります。また、ここでも立ち位置が重要となります。
皆さんが接する従業員からは良く思われないかもしれません。
自分は企業の外から個人として関わるのか、企業内の一員として行うのか。特に企業内で活動する場合は、その企業の方を向いて会社が良くなるために実施するのか、社員が良くなるためにやるのか、どちらを向いて実施するのかという点が重要です。

さらに、何の助言指導を行うのかによりグラデーションがあります。一般的抽象的アドバイスにとどまるのか、だんだん個別具体的に深いレベルで実際の就職・転職につなげていけるのか、困っている上司や人事部門の助けになるのか、大変な思いをしている社員を救ってあげられるのか。
このあたりまでくると、どこかからは労働法関係の問題にもなるため、弁護士や社労士とも連携する必要があります。
弁護士である私自身の立場からすると、我々もキャリアコンサルタントの方々をサポートしたいと思うのですが、何より、皆さんの立ち位置とか、何をしようとしているのかがわからないと、連携も難しいのではないかと思われます。

心理的安全性

女性イメージ
心理的安全性は、もはや言い尽くされている言葉で、従来のレベル感でいくと、その企業内や属するグループ内で意見が言いやすい環境をリーダーが作りましょうというレベルだったという風に思います。しかし、最近は、また別の動きも出てきています。

心理的安全性ばっちりのホワイト企業にもかかわらず、特に若手で離職する人が多いのです。
皆さんがキャリアコンサルティングする際、心理的安全性が高いホワイト企業であれば、おすすめすると思います。ですが、自分がすすめた心理的安全性の高いホワイト企業から、2,3年もすると若手が次々辞めていくという状態になっています。助言指導の切り口の一つとしての「心理的安全性」について考えることで、ブルーオーシャンを一つ作り出していくとこができるのではないでしょうか。

意見の中身


心理的安全性が高い企業では意見が言いやすいといわれますが、この意見の中身が最大の問題です。意見の言いやすさを作る環境の副作用なのか並行してなのか、どうしてもぬるい雰囲気になってしまう。

発言も容易にできないようなすごく厳しいブラック企業は今や少なくなり、多くの企業が意見の言いやすいホワイト企業であることを売りにしています。
ところが、その環境の中で出される意見の中身がある一定の水準を超えていないと、やはり意味がありません。若い人が発言しましたが何ら採用されません、という状況が発生します。意見の中身をしっかりしたものを作らせる、そういう組織が求められます。
心理的安全性を保ちながら、意見の中身として水準以上のことをさせる。それが、今一番求められていることで、社員が、自分の成長を感じられる企業というように言われています。
今や、10年ぐらい前から流行っている心理的安全性について、ホワイト企業を目指しましょうから、さらに進んで、社員が自分の成長を感じられる企業を目指しましょうという風潮になっています。

働き方との関係


ここでまたいくつか問題があります。1つは働き方との関係です。キャリアコンサルティングをする時に、学生さんとか、企業人と話をすると、相談者がテレワークを求めてくることもあると思います。「テレワークもやってない企業なんて行きたくありません」といった人が多いと思いますので、企業側もテレワークを1つのインセンティブのように使い、良い人を採用しようとします。先輩が後輩と面と向かって、上司が部下と面と向かってリアルで指導するというのが大事なのですが、テレワークを、お互いに権利として求めてくる関係になってくる。
そういう働き方の中で、いかにその社員の成長を感じさせられるのか、社員がちゃんとした意見が言えるように育てられるのか、という点が企業側の問題です。学生や企業人にとっても、どのように自分の成長を実感させてもらえるのかが、今後の大きな課題だと思います。

心理的安全性と成長感


あの企業は心理的安全性が保たれていてホワイトだよ、というのは、今や当然のことです。
むしろそういった企業に入ると、意見は言えるけれど先輩から怒られたことなんか全くありません、すごくぬるま湯で全然その自分の成長を感じられないので辞めます、といった状況が今の課題になっています。
心理的安全性と共に成長を感じさせる、そういった企業にうまく繋いでいくのかというのがポイントです。また、企業側も社員に成長を感じさせないとダメなんですよ、ということを企業に伝えることがキャリアコンサルティングの今後の核心になっていくと思います。

心理的安全性のあるホワイト企業でテレワークで働きながら、どうやってその社員の成長を感じさせるのか、また社員の成長とはどういったことなのか、ということを、キャリアコンサルティングの中では胸に置きながら指導していく必要があるというふうに思っています。
こういう企業に入ったら、あなたはこんなふうにこれだけ成長する、そのためにはこういうことが企業の中には設けられているんだ、ということがうまく伝えられると、企業側からも、キャリアコンサルティングを受ける学生や企業人の方からも高く評価されるのではないかなと思います。

まとめ

キャリアコンサルタントとして身を立てるにあたっては、
・対象者を誰にするのか
・どのような立ち位置で業務にあたるのか
・どのような助言指導を行うのか
・それがキャリアコンサルタント自身のキャリアアップもしくはキャッシュインにつながるか
という点が最重要です。

無報酬のボランティアという在り方でも良いのですが、それだとなかなか続かないのではないでしょうか。
キャリアコンサルタントとして収入を得ていく場合には、どのように進めていくのか、まだまだ見えていない業界です。
成功モデルが大勢いるレッドオーシャン市場の業界は本当に厳しい戦いで、すでに先行している人を上回るのはなかなか難しいところです。一方、キャリアコンサルティングの分野については対象者は誰か・立ち位置はどこか・何の助言指導を行うかをちゃんと整理して、キャッシュインにつなげてっていう成功している先行者って、まだそんなにいないのではないかと思います。こういったブルーオーシャンであることをちゃんと示してやればどんどん実は稼げる、本当にいいところではないかなと考えられます。
是非、各自が成功モデルになって、良い日本を作っていただくためにやっていただければいいんじゃないかな、という風に思います。

講演者


講演者:中村 芳生

・弁護士
・弁理士
・税理士
・MBA(ホスピタリティマネジメント)
一橋大学院MBA(ホスピタリティマネジメント)卒
筑波大学ビジネス科学研究群東京キャンパスで会社法等を研究
弁護士(弁理士・税理士)として企業・医療機関の顧問、社外役員等に就任
大手町企業支援総合(株)・CEO
早稲田大学院商学研究科で「経営と脳科学研究部会」を開催、麹町塾を主宰

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