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0 1 2000.vol.2
カテーテル特許訴訟の逆転劇 米国特許弁護士 服部健一
米国特許弁護士 服部健一

いよいよ陪審員を前にした法廷が始まった。その直前に裁判官は特許を有効としたので、残る問題はウィルソン社の4つのカテーテルが特許侵害しているか否かのみであり、我々には圧倒的に不利だ。
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主な登場人物
ケン・ハットリ:著者 服部健一
ウィルソン:ウィルソン社社長。同社を一代で築き上げた。
デビッド・エムハルト:ウッダード・エムハルト・モリアティ・マクネット法律事務所の弁護士。ウィルソン社長とは長年の親友。
ビンセント・ワグナー:訴訟チームの特許弁護士。かつてウィルソン社のカテーテルに特許侵害はないと鑑定した。
スペロ・ベルベスコス:訴訟チームの主任弁護士。
スティーブ・ズレイタス:訴訟チームのサポート弁護士。
ストーン・シュナイダー:ヤマザキ・メディカル社の訴訟弁護士。 
リンダ・ケリー:シュナイダーの同僚の女性弁護士。

前回までのあらすじ
 日本のヤマザキ・メディカル社がアメリカのインディアナ州にあるウィルソン社製造のカテーテルに特許侵害があるとして、訴訟を起こした。ウィルソン社長は公私とも に親しい弁護士エムハルトに弁護を依頼。ワグナー、ベルベスコス、ズレイタスを加えた訴訟チームが結成された。裁判所はバージニア州東部地区裁判所。通常3年を要する特許訴訟を10ヶ月で決着させる裁判所だ。
 彼らは、本訴訟には日本の特許弁護士が必要不可欠であるとして、日本企業を相手とする訴訟は担当しない、との信念を持つ私にチームに入るよう依頼してきた。彼らの熱意に折れた私はアドバイザーとして参加することになった。 ヤマザキ・メディカル社が厚生省に提出した書類の中に、特許が無効となる可能性の糸口を見つけ、裁判所からベストモード違反の立証となる書類の強制提出命令を出させることに成功。
 さらには、大阪・グアムで行なったデポジションでの証言を読み上げる日本人も確保し、裁判はウィルソン社に有利になると思われた。
 しかし、公判前に判事にモーションという形で提出した、ヤマザキ・メディカル社の特許無効に関する材料が、判事の判断で「訴訟は有効、ベストモード違反もなし」との決定がくだされた。
 この判事の決定で、訴訟の行方はヤマザキ・メディカル社に圧倒的な優位となった。
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