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DATA | ||
刑事裁判の陪審員の評議を描いた新しいTV映画作品です。 原題は WE THE JURY、1996年米国Jury Production Inc./Atrantis Films Ltd.の制作です。日本語版は、「告発文書 BROKEN TRUSTII」という邦題で、ギャガ・コミュニケーション提供、タキ・コーポレーション発売・販売でリリースされています。 原題 WE THE JURY(我々陪審員)のように、陪審員の評議を中心にすえた映画です。往年の名作「12人の怒れる男」以来、陪審員評議をドラマにした映画は、いくつも製作されていますが、この作品はそれらの作品群の中でもなかなか良くできた作品です。劇場用映画ではなく、CATV用に制作された映 |
画です。最近のアメリカでは、劇場公開用の映画だけでなくこのようなCATVや販売用ビデオ向けの映画が数多く制作されるようになってきていますが、法廷もの映画はその中でも人気のあるジャンルです。 監督は、TV映画を多く手がけて来た女流監督スターラ・ガンナーソンです。出演は、 「告発の行方」で検事役となったケリー・マクギリスが女性の陪審員長を演じ、 「アメリカン・ジゴロ」のローレン・ハットンが殺人で裁かれる被告女性を演じています。 その他、「サウンド・オブ・ミュージック」のクリストファー・プラマーをはじめ、演技派の男女優陣が多数出演しています。 |
STORY | ||
TVの華形女性司会者のウイン・アトウッド(ローレン・ハットン)が夫をその愛人の自宅で射殺するというショッキングな事件が発生します。ウイン・アトウッドは、その場で、自ら警察に通報し逮捕されます。彼女は、腕ききの刑事弁護士を雇って刑事裁判に臨みます。 映画はジュリー・セレクション(検察側、弁護側双方による陪審員団からの陪審員の選任) の場面から始まります。陪審に選任されたのは12人、主婦のアリス・ベル(ケリー・マクギリス)、男性優越主義者のラフィエル・ラモス、ウーマンリブ闘士のベリル・グレンジャー、白人エグゼクティブのローレンス・ミラン、中国系 |
女性のステファニー・チュウ、東欧移民のイボンヌ・シメリックなど12人です。人種、性別、年令など全く様々な陪審が、被告ウイン・アトウッドの審理を見守ります。 陪審員達はジュリー・ルーム(評議室)に移り討議をはじめます。男性優越主義者のラモスは、アトウッド被告がピストルで被害者の頭を狙って射殺した事を理由に、第一級謀殺を主張します。ウーマン・リブ闘士のベリル・グレンジャーは、被告が夫から虐待を受け 生命の危険すらも感じていたとの証言を根拠に、精神的な異常の下に起きた事件だとして 無罪を主張します。陪審員はそれぞれ異な |
った考え方と背景から意見が無罪と第一級謀殺で有罪の間を二転三転します。陪審員長のアリス・ベル(ケリー・マクギリス)は、手ぎわよく 議論を整理して行きます.議論を決定したのは、言葉数の少ない老女イボンヌ・シメリック の証言の記憶でした。再三くり返された陪審員の有罪・無罪の投票が徐々に結論に収れんして行きます。 |
POINT | ||
名作「12人の怒れる男」以来陪審員評議をテーマにした映画はいくつも製作されていますので、多くの方は陪審員評議の事を知っておられるでしょうが、この映画は、陪審員の議論がどのように行われ、その評決がどのようにして形成されて行くかを、実際に評議の場に居るような感じで臨場感をもって再現してくれます。日本では、陪審員は優れた裁判官の判断に比べて、信頼性がないなどと言 | う人も居ますが、むしろ12人の一般人が知恵をしぼり、討議をくり返しながら判断する陪審員の方が正しい決定が得られるということが、この映画を見ると実感をもって納得できるでしょう。陪審員達の議論の進め方は、 私達日本人にとって大変参考になります。裁判の審理の場面も含め、アメリカの刑事裁判を知るのに参考になる作品です.。 |
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