■日本の国際競争力の低下
わが国の国際競争力が低下している。世界に負けない「ものづくり」が、これまでの日本を支えてきたが、アジア、特に中国の「世界の工場」に太刀打ちできなりつつある。国内の経済・社会全体の活性化のためには、国際競争力の強化が急務である。 ■なぜ「知的財産」なのか 大量生産の時代は終わった。研究活動や創造活動の成果 である知的財産、つまり企業の技術・ブランド・デザイン・ノウハウといった、無形資産という高い付加価値を持つ品を生み出す。これが、国際競争に勝ち残る国家戦略として、必要とされる知的財産であり、そのための経済・社会システム全体の再構築が「知的財産立国」の基盤となる。 ■時間との戦い 日本が世界で巻き返しをはかるためには、もはや時間的余裕はない。国家戦略として、集中的・計画的に「知的財産立国」実現のための基盤をつくらなくてはならない。これに対し現状は、知的財産戦略と密接に関連する、経済産業省(特許庁)、裁判所、法律実務家、大学および研究所、企業から構成されたメンバー、および関連府省による、「知的財産戦略会議」が設置され、一丸となって「知的財産立国」を実現する態勢が整ったばかりである。 ■「人材」が最大のポイント 「知的財産立国」のための環境が整ったとしても、それを支える人材の不足は危機的である。即戦力となる人材の確保、そして将来を担う人材の養成の両方が必要である。現在、ロボット研究に没頭しているのは、「鉄腕アトム」世代であり、子どもの頃の夢が原動力となっている。人材の確保のためには、知的財産に対する世代を超えた情熱・関心が求められるだろう。 ■国民全体が当事者として わが国には、明治期の殖産興業、戦後の高度経済成長を支えた「ものづくり」という、紛れもない成功の歴史がある。 21世紀を迎え、国民が、日本の経済的将来像に当事者としての明確なビジョンを持つことが肝要である。「知的財産戦略会議」が中心となって、その活動を主導する、そのような「知的財産」政策が望まれる。 |
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