「マンション」の定義

 「マンション」という言葉は、英語で大邸宅という意味を表す「mansion」に由来し、日本では中高層の集合住宅を表す言葉として広く一般 に普及している。
 マンションを法律上定義した最初の法律は、平成12年に成立した「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」(以下、マンション管理適正化法)である。同法において、マンションとは、複数の区分所有者が存し、人の居住に用する専有部分のある建物ならびにその敷地及び付属施設であると規定された。また、国土交通 省は、マンションについての統計を取る際には、分譲マンションに限定している(具体的には、「中高層(3階建て以上)・分譲・共同建てで、鉄筋コンクリート、鉄骨鉄筋コンクリート又は鉄骨作りの住宅」)。
 本特集では、特に断りのない限り、「マンション」とは分譲マンションを指すこととする。

真の豊かさのために


 生活に関する調査に、しばしば「住」に関する数字が用いられることからわかるように、住環境は生活の豊かさを測るバロメーターである。しかし、日本のGDPは世界のトップクラスにあるにもかかわらず、特に都市部の住環境は貧弱と言われる。
 そこで、住宅政策の一環として、マンション関連法制を整備し、都市の住環境を向上させることが喫緊の課題である。総合規制改革会議では都市再生が論点のひとつとなっており、土地の高度利用、都市住環境の充実という観点から、マンション関連法制の整備が真っ先に実現へと向かっている。
 平成12年にマンション管理適正化法が成立し、また、阪神・淡路大震災でその欠陥が明らかになった建替えに関する法制度については、「建物の区分所有等に関する法律」が改正作業中であり、「マンションの建替えの円滑化等に関する法律案」が第154回国会にて成立の見込みである。
 人は魅力ある都市に集まり、そこでは経済活動が活発になる。経済の活性化のためにも、真の豊かさのためにも、マンション法制の整備が望まれている。