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リスクマネジメントの3ステップ |
トーマツコンサルティングと電通PRが行っているY2Kに関連するコンサルタント業務は、トーマツコンサルティングが担当する「レコードマネジメント」と電通PRが担当する「ディスクロージャー」「リスク・コミュニケーション・コンサルティング」の3つがある。 |
「ディスクロージャーは電通PRが担当しています。われわれは会社の中の改善を行い、電通PRは会社と社会の関わりの部分を改善する。会社の中と外で手をつないで分担しているという形です」 |
訴訟を起こされたとき、ダメージを最小限にするには、Y2K対応を実施すること、そしてその努力を適切な形で記録に残しておかなければならない。それがレコードマネジメントだ。 「われわれは独自の方法によって、Y2K対応の記録の整備状況を評価・診断して、また最適なレコードマネジメントを提案しています」 まずその企業のY2K対応について手続きの実施状況をチェックして、現状を把握する。「その会社がこれまでY2K対応として何をしたかを調べ、 |
“あるべき姿”とのギャップを把握するのです」 米デロイト・トゥーシュはY2K問題について1998年にプロジェクト体制を組み、“あるべき姿”、つまりY2K対応として企業はどういう計画で、どんな項目について、何をすべきかについて詳細なメソドロジーを作成している。 「それはわれわれが“方法論”と呼ぶY2K対策メソドロジーです。Y2K問題を解決するためには、このようなことを、このような手順で実施していかなければならないという項目が列挙されています」 |
具体的なチェックする項目としては、「運営委員会の設置」「分科会の実施」「戦略の文書化」といった26分野があり、そのためにやらなければならない作業ステップが細かく設定されている。1分野には平均10ほどの項目があり、トータルで268の項目がある。 「その本来あるべき姿と、現状はどうか? ということを比較してチェックしていくわけです。リストを作って、チェックしていくと、“これは実施した”“これは実施したが記録は残っていない”“これは実施していない”など色々なレベルのものが出てきます。 |
すべてにマルがつくようにすればいいのですが、そのためには非常にコストがかかります。またリスクを100%回避することは不可能です。ですから優先順位をつけるわけです。マルがついていない項目の中で、何を実行すべきかという優先順をつけ、やるべき項目を洗い出し、次にやるべきことを指摘していくわけです。コストに対して、最大限のリスク削減の効果を狙うといことです」 訴訟が発生したときのために備えて、取り組み姿勢と努力の過程を記録しておくという作業だ。 |
「ほとんどの日本企業の場合、社内システムに関する項目はそれなりにマルがつきますが、やはりネットワーク社会における社外との関係という観点からのチェックは遅れています。その項目は今、ようやく三角になりつつあるといった段階です」 そのチェックにより、改善点を明確化にした後は、クライアント・サイドで改善実施の計画を立て、それを実行していく。 「その危機管理計画は、想定される事象をどんどんあげていって、これは可能性が高そうだということについて対策を考える仕事です。 |
“これまで何をしてきたか?”“何が足らないのか?”すべて洗い出して、危機管理計画を作り、対外的に関係する会社がどうなっているかなどすべて調べあげます。さらに何か発生したとき、こういう手段、プロセスで行動するという危機管理計画を作る。危機管理計画を作るまでに約3カ月かかります。また計画はただ紙上で作ればいいというものではなく、使えるものでなければなりません。とくにY2Kのトラブルの場合、発生する可能性がかなり大きいため、実際に行動できるようにするため、訓練を行うことが不可欠です」 |
もし被害が発生した場合、ダメージを最小限にするためには、Y2K対応で最大限の努力を払っていることを適切な形で情報公開しなければならない。 電通PRが行うのはY2K対応の姿勢、努力の経過・結果を周知させるための国内外への情報発信活動であり、『Y2Kニュース』の送付、ホームページの作成などの実施となる。そのさい、ポイントとなるのは以下のようなことだ。 1.その内容が事実に基づいたものであること |
2.網羅的かつ適切な方法論に基づいた対応であること 3.最大限の努力が理解できること 「ディスクロージャーは可能な限り早い段階から、たくさんの情報を関係者、あるいは広く社会に開示するということが必要です。また事前に事実を広く周知せしめる努力をしておくことが、裁判のとききちんとやっていたという心証の一助になると思われます」 |
損害が発生してしまったとき、企業によってはマスコミの対応はきわめて重要だ。起きてしまったことを、どうやって適切にマスコミに伝えるか? その方法をアドバイスするのがリスク・コミュニケーション・コンサルティングだ。 「万一事故を起こしたときは、 |
その情報を適切にマスコミ、ユーザー、関係先企業、株主、社内に伝えなければなりません。その対応を誤ると、ひとつの失敗が百にも千にも拡大していきます。隠しだてして、発覚するような事態となれば、多大な社会的制裁を受けることにもなります」 |
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