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vol.1
ワールド トレンド レポート
韓国
 韓国の議会制度に関して[2]

朴 連護(前国会議員補佐官)


国会と立法過程

 国民の代表機関として国会の有する代表的な権限に憲法改定権を含む立法権があげられる。
 法律の制定において、立法権の行使は通常、国民の代表機関である国会の独占的な権限であるが、韓国では、国会議員だけではなく政府も法律案の提出ができる。
 法律案は、まず、所管常任委員会の審査を経て本会議に付議され、質疑と討論を行った後、採否を問うことになる。
国会で可決された法律案は、通常、政府に移送されて15日以内に大統領が公布の手続きを行い、特別な規程がなければ公布された日から20日を経過して効力が発生する。一方、国会で可決された法律案に対して異議がある場合、大統領は移送された日から15日以内に法律案を国会に返送して再議を要求することができるが、法律案の再議には国会在籍議員の過半数の出席と出席議員3分の2以上の賛成が必要となる。


国会の権限と機能

 立法権は国会が有しているが、法律を執行して適用する権限は行政部と司法部に割り当てられている。このような権力分立の制度は、国家権力相互間の牽制と均衡を通じて権力の濫用を防ぎ、国民の基本権を保証しようとする憲法の精神から導かれるものである。そこで国会は法律の執行と適用を監督して牽制する権限を有している。
 韓国では国家財政の源泉になる租税の種目と税率を必ず法律で決めなければならない租税法律主義を採択している。政府に対する牽制ともいえる。財政に関しても、毎年国家の予算案を審議して確定する権限のほかに
監査院の報告を受けて前年度の予算の決算を審査する権限を有している。これは国会の議決を受けた予算の執行結果を再度審査することにより財政に関する国会の監視権に実効性を付与するためである。
 次に、国会は、法律の定めによって大統領が任命する国務総理、監査院長、最高裁判長、最高裁判官、憲法裁判所長への就任には国会の同意が必要であるといった任命同意権以外に、憲法裁判所の裁判官3名と中央選挙管理委員会の委員3名を国会から選出することになっていることなど、他の国家機関を牽制する機能を有している。


 また、大統領の外国に対する宣戦布告と一般赦免、国軍の海外派遣と外国軍隊の国内駐屯措置などに関して同意権を持つほか、緊急財政経済処分および命令、緊急命令に関しては承認権を有している。国会は大統領の戒厳宣布に関しては解除要求権を行使することができる。この場合、大統領は戒厳宣布を直ちに解除しなければならない。
 さらに、定期会開催中、国政全般に関して国政監査を実施、必要な時には特定な国政案に関しては国政調査を実施する一方、国務総理と国務議員または、政府委員らを国会に出席させ対政府質問をして国政を監視、統制する役割を有している。
 以上のような権限を適切に行使するためには何よりも国会議員の自由な活動が保証されていなければならない。


韓国では、国会議員は、国会内で行った職務上の発言と票決に関して国会の外では責任を負わない免責特権と現行犯でなければ会期中には国会の同意なくして逮捕、または、拘禁されないという不逮捕特権が付与されている。国会に対して運営と事務処理に関しての自立権についても政府と他の国家機関の干渉を排除するのも このような理由から出ている。
 韓国の憲法では特別に国会議員の清廉義務を規定して個人と所属政党の利益より常に国家の利益を優先させている。また、国会は議員の資格有無が問題になった場合には、その資格を審査して法律と国会議員倫理綱領に違反した場合には該当議員を懲戒することができる。

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