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vol.1
映 画  「 敵 対 者 た ち 」
敵対者たち
映画で学ぶアメリカ法
発売元/CIC・ビクタービデオ
価格/11,200円(税抜き)

DATA
 ロースクール時代からの敵対関係にある検事と弁護士が正義と友情により真実を暴くまでを描いたサスペンスとヒューマニズム溢れる法廷映画です。
 原題は " The Antagonists "。1991年のユニヴァーサル映画制作配給の劇場用映画です。日本語字幕版は邦題「敵対者たち」でCICビクタービデオから発売されています。
 監督は「バード・オン・ワイヤー」「ハード・ウェイ」のプロデューサーとして知られるのロブ・コーエン、脚本はダニエル・パインが書いています。
ヒロインの女性検事補ケイトには「フォード・フェアレーン」で主人公の探偵のアシスタントに扮し、若手美人女優として注目されたローレン・ホリー、ライバル弁護士ジャックには「地下室の悪夢」の主演で注目度上昇のデビット・アンドリュース、その他、マット・ロス、ベリンダ・バウアー、クリストファー・マクドナルドらが出演しています。
 富豪の邸宅で起きた殺人事件の真相をライバルの男女の弁護士らが時には反発しながらも解明して行くという典型的なリーガル・ミステリーですが、テンポの早い展開で面白く見られる映画です。


STORY
 西海岸の町が舞台です。地元大企業の社長マンシンガー(マット・ロス)の妻が自宅で何者かに撲殺され、宝石類が奪われる事件が発生します。同じ夜、飲酒運転でグレッチェン(ベリンダ・バウアー)という女性が逮捕されますが、新人検事補のケイトが飲酒運転の事件を担当することになります。グレッチェンの弁護を引き受けたのは、ロースクール時代、ケイトと敵対し、現在は刑事弁護で評判の高い弁護士ジャック(デビッド・アンドリュース)です。彼は司法取引の根回しをしますが、 グレッチェンの所持品のな中から先頃殺された被害者の宝石が発見されます。
 ケイトは殺人事件の被疑者としてグレッチェンを起訴します。グレッチェンは被害者の夫マンシンガーが社長を勤める会社の財務コンサルタントで、彼の愛人でもあります。殺しの動機もありますが、決定的な証拠がありません。やがて、審理が開始されます。ジャックはグレッチェンの無実の訴えを聞きますが、何となく腑に落ちない点があります。


 公判は検察、弁護側双方とも決め手のないまま審理が続いていきます。 その時、殺害の凶器である金属バットが発見されます。 バットには被害者の夫マンシンガーの指紋と滑り止めの松ヤニが付いていました。 グレッチェンはマンシンガーが暴力的であったこと、 殺害したのは被害者の夫マンシンガーであることを証言し、保釈となります。 ケイトはマンシンガーを逮捕し、その殺人公判を始めます。 一方、事件の成り行きに奇妙な引っかかりを感じていたジャックは 証拠品のバットに隠されたトリックを見破ります。 提訴を取下げるべきか否か悩んだケイトですが、 グレッチェンの服に付いた松ヤニを洗濯したクリーニング屋の証言を提出し、 同時にマンシンガーの起訴を取り下げる挙に出ます。


POINT
 アメリカの法廷映画では典型的な役柄として検察官に若い女性をヒロインとして、それに敵対する弁護士に老練かつ個性的な男性という組合せが多いのですが、実際にも女性検事の数は多いようです。法曹試験合格後、大手の法律事務所には多くの新人男性弁護士が就職しますが、日本よりも女性の職場進出が進んでいるアメリカでさえ専門職の女性弁護士といえどもなかなか大手の法律事務所には就職できないようです。このような状況から、公職である地方検事局に就職する女性が多いようです。 また、アメリカは陪審裁判ですので陪審の同情・共感を得る方が勝訴の確率が高いと言われています。検察官が犯罪の訴追を行う場合、検察官が女性の方が、陪審は勧善懲悪の感情に動かされて、検察側勝訴の評決を出すことが多いと言います。これに対し、被告側弁護人は、老練で冷静な弁護士が好まれますから男性の弁護士が好まれると言います。多くの通俗法廷ドラマのような役割分担がこの映画でも出ています。

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