経営のプロフェッショナルである中小企業診断士の魅力は、その幅広い専門性と確かな思考力にあります。ここでは、中小企業診断士を有することで広がる可能性についてご説明します。
中小企業診断士の役割と仕事
経営コンサルタントとは?
中小企業診断士は、国から認められた経営コンサルタントです。コンサルタントとは、あるモノゴトに関する相談相手となり、アドバイスや提案を行うことで、報酬をもらう職業です。 一言でコンサルタントと言っても、経営、人材、キャリア、情報システム、金融、建設、医療、不動産など様々なコンサルタントが存在します。その中で、一般的なコンサルタントとして認知されているのが、経営コンサルタントです。
現代の中小企業診断士
中小企業診断士は、「中小企業」を対象とした経営コンサルタントです。 ところで、「中小企業」という言葉は、ネガティブなイメージがあるようです。人材不足、無名、低い技術力や生産性、苦しい台所事情、といったところでしょうか。そして確かに、国は中小企業を弱者として位置づけ、中小企業を「指導」するために中小企業診断士を戦後に設置しました。
しかし、時代は変わりました。現代は技術革新が早くなり、グローバル化が進むなか、中小企業が大企業にはできない新しい技術やサービスを提供し、経済を活性化しています。これから日本の社会や経済が発展していくためには、中小企業が大企業に並ぶ主役として、より一層活躍してもらう必要があるのです。 だから国は方針を変え、中小企業をこれからの日本の発展に最も貢献する存在とし、中小企業診断士を中小企業の創造性と柔軟性を支える「パートナー」として位置づけし直しました。そのため中小企業診断士は、新しいビジネスの支援や古いビジネスの変革、企業と関係者をつなぐパイプ役など、パートナーとして実に幅広い活動が求められています。
中小企業診断士に求められる能力
パートナーとして中小企業の良き相談相手や問題解決の提案を行うことが、中小企業診断士の代表的な役割です。 だから中小企業診断士の試験は、パートナーとしての能力をふるいにかける試験と言えます。では、どのような能力がパートナーには求められるのか、そして試験とどのような関係にあるかをご紹介します。
経営全般に関する幅広い知識
中小企業の経営目標(売上アップ・コスト削減・新技術開発etc)を達成するためには、全社的な経営の視点でモノゴトを考える必要があります。また、情報化や技術革新、特許の取得のために専門家と協力する局面も増えています。 そうした、ヒト・モノ・カネ・情報(=経営資源)に関する幅広い知識が求められます。その幅広さは、主に第1次試験で問われます。
創業・経営革新を促進する能力
経済は生きているために、日々何らかの変化がおきています。だから、新しいビジネスを始めようとする企業や、すでにビジネスを興している企業は、この経済変化に適応でき続けるよう不断の努力を費やします。 中小企業診断士は企業の代わりに経済の変化と自社の状況を見極めて、新しいビジネスやすでにあるビジネスがより市場にフィットするよう提言します。この能力は第2次試験 筆記式で問われます。
助言する能力
経営コンサルティングは、分析と提言がセットになった仕事です。たとえどんなに良い分析ができたとしても、その報告をだれも理解できなかったり、何かを提言されてもやりたくない・できないと思われたら、そのコンサルティングは成り立ちません。 論理的で簡潔、そしてだれもが分かる用語で経営者に伝える能力が助言する能力です。これは第2次試験 筆記式および口述式で問われます。
中小企業診断士というキャリア
中小企業診断士資格を学習することで得られる幅広い知識や思考スキルは、経営コンサルティング業務のみならず、ビジネスシーンのあらゆる場面で役立ちます。資格という肩書きだけではなく、学習を通して培った確かなスキルが、あなたのこれからのキャリアを豊かに彩ります。
プロコンサルタント
- コンサルタントとして思いっきり活躍!
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プロコンサルタントとは、独立してコンサルタントやコンサルティングファームでコンサルティング業務を行う人のことです。 経営コンサルティングから講演・執筆と仕事の領域は多岐にわたり、まさに花形職業といえます。 また、多くの合格者が資格取得後に独立や転職を果たしており、キャリアアップの最適な選択肢として選ばれています。
業務名 平均報酬額 「公的業務」が
多い診断士「民間業務」が
多い診断士診断業務 37.7千円/日 98.3千円/日 経営支援業務 37.5千円/日 112.5千円/日 調査研究業務 53.6千円/日 89.7千円/日 講演・教育訓練業務 48.1千円/日 119.0千円/日 執筆業務 7.8千円/400字 6.4千円/400字 その他 29.5千円/日 61.0千円/日 ”中小企業診断協会の「中小企業診断士活動状況アンケート調査」結果(令和3年5月)”をもとに作成
企業内診断士
- 会社と顧客を見わたすオンリーワンな視点
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企業内の様々な部署で、中小企業診断士の幅広い知識を活かして活躍しているビジネスマンのことを「企業内診断士」と呼んでいます。 複雑な経営環境の下、企業が求めている人材像は、一つの部署に属してその専門性を持ちながらも、会社や顧客の全体を色々な視点から見ることができる人なのです。
経営企画職のようなコンサルティングに近い考え方が必要な部署の方はもちろん、顧客から提案が要求される営業職、顧客に与えるベネフィットを考え続ける企画・開発職、業務全体を俯瞰する視点が必要なIT職の方など、多様な職種の方が中小企業診断士を取得しています。
これは、企業のどの部門においても中小企業診断士のセンスやスキルが必要とされていることの証です。